令和5年第2回定例会一般質問、答弁全文

議長/次に、19番小林たかや議員。

小林議員/令和5年第2回定例会におきまして、千代田区議会自由民主党として一般質問をいたします。
初めに、「富士見みらい館PFI事業の事後評価等と今後について」質問いたします。
平成11年7月、「通称PFI法」の施行から20年以上が経過し、法施行後の初期に実施したPFI事業の多くが期間満了を終えております。
千代田区においても区役所本庁舎を平成16年から令和2年度まで17年間で行い、富士見みらい館を平成19年度から令和6年度までの17年間で、PFI手法を活用した整備を行なっています。
PFI事業とは、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用し、事業全体のリスク管理が効率的に行うことや設計・建設・維持管理・運営の全部または一部を一体的に扱うことにより事業コストの削減や質の高い公共サービスの提供が期待されるというものです。
区役所本庁舎は国と区による2者のPFIでしたが、富士見みらい館PFIは区単独の事業なので特に期間満了の一定期間前に適切に事後評価等を実施し、効果、成果等を明らかにすることで、次期事業手法について検討する必要があります。
富士見みらい館のPFIは、小学校・こども園、児童館機能や学童を担うわんぱくひろばといった子供の施設や九段中等学校の給食の提供などのPFI事業です。
PFI事業の最大の目的であるコスト削減は目的でない事業でした。
令和7年3月末で17年間の事業が終了するに当たり、質問いたします。
1.モニタリングについて。
モニタリングとはどのように実施していますか。
また、契約終了時はどのようにする予定ですか。
モニタリングは随時行なうことが基本と考えますが、一定の期間ごとに区が独自に行なうモニタリングはありませんか。
モニタリングに当たっては、当初定めた情報及び頻度にて事業者から報告を受けることが基本となります。
上記に際し、事業者が抱える事業管理・運営上の課題を官民間で協議、共有をどのようにされていますか。
2.事後評価等を検証するプロセスについて質問します。
PFIにおいて「適切に事後評価等を実施し、PFI事業における課題や反省点を明らかにし、今後の事業方法の選択や事業内容の改善に生かすことが必要不可欠である」という国の明快な方針・趣旨があります。
これに沿う前提であれば、「評価に当たっては、外部有識者へのヒアリングを行うことにより評価に客観性及び中立性を確保することが望ましく、評価に当たっては、公平性を期すとともに今後の事業スキームの構築等の参考とするため、当該事業を実施した民間企業からの意見も聴取することが有効で、さらに民間企業から意見を聴取するに当たっては、外部有識者が直接聴取することなどにより中立性が担保されるように配慮なされる必要」とされております。
これらのガイドラインに沿って、区、事業者、利用者及び第三者の目を通して検証が行われたのか、行われているのかお答えください。
検証結果の公表は検討されていますか。
検証結果としての課題はどのようなものでしたか。
3.評価後に明らかになった管理上のメリット・デメリットについて質問します。
施設の整備と15年間にわたる維持管理を1事業者に任せたことによるメリットがあったのかどうか。
コスト面はもちろんのこと、ハードの品質の維持という面でメリットはありましたか。
ハード(設備の建設と維持)とソフト(学童保育を中心とする運営)を一グループたる民間事業者(コンソーシアム)が実施することにおいて、コスト及びサービス両面におけるメリットがあったかどうか。
特に今回のPFIにおけるソフトの部分の特徴として、給食運営と学童保育運営が事業者側によるものであったが、この運営を施設の維持管理とともに行なったことについてのメリット・デメリットを検証してお答えください。
4.リスク分担の適切性について質問します。
当初定めた協定・契約に基づくリスク分担が適切なものであったかどうか、検証・検討することが必要で、PFI事業において顕在化し得る様々なリスクについてこれをいかに縮小化するかという観点から、行政側と事業者側の負担について様々な角度から検討がなされておりますが、「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」では、「想定外のリスクの増大や著しい事業環境の変化等によって、事業期間中に当初のリスク分担が著しく不適切になった場合には、協定等の内容を踏まえた対応を基本としつつ、必要に応じて業務範囲やリスク分担の見直し等に関する協議を行なうことが望ましい」とあります。
これまで区と事業者のいずれかから、お互いのリスクや役割分担について不満・要望があったことはありましたか。
その際、リスク分担の見直しを適宜行なうという作業はなされたのでしょうか。
次期事業方式の検証の際には重大な意味を持つ参考資料となるものと考えますので、お答えください。
5.管理者によるセルフチェックの整理について。
管理者のPFIにおいて事業終了後に向けて、事業期間中における事業効果や課題認識について情報を蓄積する必要があります。
管理者によるセルフチェックがどのように実施されたか、整理されているのかお答えください。
6.PFI事業が終了した後の事後管理手法について質問します。
事業から得てきた運営上のノウハウは事業者だけのものではなく、区だけのものでもありません。
共同の運営者である千代田区と事業者がともに分かち合うべき財産です。
この見えない財産を次期事業へどう生かすかです。
一方、次期事業の選択及び事業者選定において「公平性の原則」をどう守っていくかは非常に重要なテーマです。
事業終了時に実績のある運営事業者を他の事業者とただ一律に取り扱うことが「公平性」の趣旨ではなく、俯瞰した視線から事業期間全体における評価を見渡した上で、次の選択肢を準備する必要があると考えます。
区の方針はどのようなものかお答えください。
次に、「不登校対策等について」質問いたします。
不登校児童生徒の問題については、不登校対策をすぐにしなくてはならないと保護者より要望がございました。
本来であれば、国の指針に基づき不登校特例校を行政が設置すべきですが、待っていても、今現在取りこぼされている子供を救うことはできません。
行政ができないところを小回りの利く民が親子の孤立を防ぎたいという思いから行動に至っております。
今後目指すものは「学びに選択肢を」ということを主眼に、インクルーシブな学びの場と孤立しがちなマイノリティーの保護者の居場所を提供したいと考えております。
応援してほしいということでございました。
課題としては、①場所の問題。
千代田区は家賃が高い上に、子供施設となると近隣の理解を得難いこと。
②資金の問題。
資金社会課題解決事業はお金にならない事業のため、行政の助成がないと大手企業さえ参入しない状況、区の助成なしには成り立たない事業であること。
③人材の問題。
人件費が払えないため募集できず当面は大学生ボランティアに協力を依頼しているなどでした。
このように保護者が立ち上がって、不登校対策に取り組み、改善の行動を起こしている中で、教育委員会は今どういう認識で何ができるか確認をしていきたいと思います。
少しでも改善を進めるためには、どうすればよいのか質問いたします。
文部科学省では、不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは登校したくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義づけております。
文部科学省による「児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査」では、令和3年度の不登校児童生徒数は小学校で8万1498人、中学校では16万3442人、高等学校では5万985人であり、義務教育段階である小・中学校の合計が約24.5万人、高等学校を合わせると約30万人との結果が示されております。
特に近年、不登校児童生徒の数は年々増加し続けております。
不登校となってしまう原因は、多様化、複雑化しており、一人一人の状況に応じた施策を講じることが必要であると考えます。
さらに文部科学省は、不登校児童生徒の定義に当てはまらなくとも、不登校傾向にある子や不登校になりそうで悩んでいる子、困っている子はもっと多いのではないかと危惧しています。
そこで、まず初めに本区における不登校児童・生徒の状況と原因をどのように把握しているか、また、不登校傾向にある子供や不登校になりそうで悩んでいる子、困っている子についてどのように対応しているのか、お答えください。
教育においては、様々な状況の差異はあっても、「安心して学校に通うことのできる」ための環境づくりが必要です。
本区においては、不登校児童生徒が安心して学ぶことができる適応指導教室(白鳥教室)を開室していると認識しておりますが、白鳥教室に通室している子供たちの登録数や実際の通室状況についても強い危機感を抱いております。
そこで、白鳥教室に通室している子供たちの登録者数や実際の通室状況について、さらに本区における白鳥教室の状況と教育委員会が把握している課題をどのように認識しているか、お答えください。
白鳥教室の運営に課題があれば、その課題は解決していかなくてはなりません。
現実問題として白鳥教室に行けない子供がいると聞いております。
そのような現状から、白鳥教室の機能拡充だけでは学びの充実は難しい状況ではないでしょうか。
白鳥教室に拘らず、例えば、文部科学省がさきに行なわれた中央教育審議会において、不登校特例校を全国で300校設立する目標を打ち出しております。
しかしながら、東京都の現状は、小学校段階で不登校特例校は江戸川区と八王子市の2校のみ、中学校段階では葛飾区、大田区、世田谷区、調布市、福生市の5校のみ、高等学校段階では国立市1校のみです。
文部科学省は、令和5年3月31日に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について」という通知を発出しましたが、その中でNPO法人や民間のフリースクール等と連携することで、そのノウハウを取り入れた業務委託をしたりすることが望ましいと記載されております。
同通知には、教室以外の学習等の成果の適切な評価の実施についても記載されております。
教室以外ということではNPO法人や民間のフリースクール等はもちろん、ICT等を活用した自宅での学習も含まれるのではないかと考えます。
そこで、不登校対策として白鳥教室の機能充実と併せて、本区でも不登校特例校の設置について、民間のフリースクール等と連携を進めていくことで不登校児童・生徒の新たな居場所づくりを検討することができないでしょうか。
また、NPO法人の民間のフリースクール等に通う子、そして、自宅でICTを活用して学習している子についてもその評価や出席に関して、これらを配慮した柔軟な対応を御考慮いただくとともに不登校特例校の設立やNPO法人や民間のフリースクールとの連携や業務委託などについても積極的に取り組んでほしいと存じますので、お答えください。
一方で、学校には何とか登校できてはいるが、様々な理由からなかなか教室に入ることができないという児童・生徒も一定数いると確認しています。
このような教室に入ることができない児童・生徒の実態は把握していますか。
このような児童・生徒にも当然のことながら、楽しく安全で安心して学校生活を送る権利があります。
具体的にはどのような対策が取られているか、御見解をお願いいたします。
明快な答弁を求め、質問といたします。
ありがとうございました。

議長/教育担当部長。

教育担当部長/小林議員の富士見みらい館のPFIについてお答えいたします。
まず、「モニタリングについて」ですが、要求水準に沿って事業者が実施し業務報告書とともに毎月区に提出することで実施しております。
事業期間終了時のモニタリングについては、事業者と協議し、終了前検査の実施などについて検討していく予定です。
また、区独自としても四半期ごとに実施しており、区及び各施設・関係部署・事業者による毎月の運営協議会なども活用し、情報共有を図っております。
次に検証プロセスについてですが、今回、専門的な外部コンサルタントに委託するとともに、内閣府の「基本的な考え方」や「マニュアル」に沿って、事業者や各施設のヒアリングなども含めて実施しております。
課題としては、備品や維持管理などのデータ整理、業務内容や所掌範囲のさらなる明確化などが挙げられております。
なお、検証結果はホームページなどで公表してまいります。
次に、評価後のメリット・デメリットでございますが、コスト面として「事業コストの縮減」については、法令改正への対応や社会状況及び児童数増などに伴う行政需要の変化への対応による業務の追加・見直しはあるものの、バリュー・フォー・マネーの効果は発現しており、事業コストの縮減につながっています。
また、施設整備については事業期間を通して割賦払いによる財政負担の平準化が図れているため、一定の効果があったと認識しています。
ハード面では、近年の区の自前による従来型整備事業と比較して、工期の短縮が図られたことや設計・工事・監理・建築・設備・維持管理など、各事業者が当初から携わっていることで施設や設備の不具合対応が迅速であることが挙げられます。
サービス面では、学童クラブ運営事業者による子供向けプログラムや保護者の子育て支援プログラムなど独自の取組が展開されたことや給食運営では、こども園の利用者満足度が高いことなどが挙げられます。
PFI事業は、設計から建築、維持管理、運営までの一括契約ですが、SPCを中心として、各事業者がそれぞれ主体的に携わることで対応の迅速さやサービス向上への効果が発揮されたものと認識しております。
次に「リスク分担について」ですが、公募時点におけるリスク分担は、想定される種類・内容は必要なものが挙げられ、負担者区分も特に問題はないとの結果でございます。
また、事業期間中において、リスクや役割分担についての疑義は特に生じておりません。
次に「管理者セルフチェックについて」ですが、セルフチェック表のようなものでチェックは行っておりませんが、今回の検証の過程で明らかとなった課題及び実務の中でこれまでに蓄積され、引継ぎが行われてきた事項などを整理し、今後の運営に生かしていきたいと考えております。
最後に「PFI終了後の次期管理手法について」ですが、直営をはじめ、現在、導入の可能性を調査している「包括的管理委託」や指定管理、業務委託、またはそれらの組み合わせなど、幾つかのパターンを検討しており、今回の評価で示された課題も踏まえ、単にコストや効率性だけではなく、現在の富士見みらい館に最適な方法について検討を進めてまいります。
次に「不登校対策等について」の御質問にお答えいたします。
まず、不登校児童・生徒の状況ですが、おおむね100名から130名程度で推移しており、その対応が喫緊の課題と認識しております。
原因については、毎月各校から提出される出欠状況資料を基に、把握しております。
また、具体的な不登校の原因として、文部科学省の調査では「無気力・不安」が一番多い結果となっていますが、実際はより複雑かつ複合的で、多岐にわたるものと認識しております。
不登校傾向等の児童・生徒への対応については、スクールカウンセラーや養護教諭を含めた全教職員が組織的に対応できるように相談体制を整えております。
またスクールソーシャルワーカー、適応指導教室、児童・家庭支援センターなどの関係諸機関と連携した対応を図るとともに、様々な事情から学校に行きづらい児童・生徒のために、大学生が登校を支援するサポート事業なども行っております。
次に、白鳥教室の状況についてですが、通室生は年々増加傾向にあり、令和4年度は年度末段階で30名を超える児童・生徒が登録し、多い日では15名程度が通室しております。
課題としては、不登校児童・生徒を確実に白鳥教室につなげること、多くの通室生を受け入れられるキャパシティの確保や充実した学びを保証するための指導員の確保などがあり、解決に向けて現在取組を進めております。
次に、不登校特例校や新たな居場所づくりについてですが、本区では、これまでICTの活用や適応指導教室等の学習支援の場を設けるなど、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指すための支援に取り組んでおります。
御指摘の不登校特例校については、不登校児童一人一人に配慮した特別な教育課程を設けて、学びを確保するものですが、白鳥教室においても同様の効果が得られるよう、校外学習や体験活動を充実させているところであり、今後必要に応じた様々な取組を進める中での一つの課題と捉えています。
また、新たな居場所づくりについては、国や都の動向を見極め、先行実施しているほかの自治体の状況も注視しつつ、民間との連携などの必要な対応を検討してまいります。
検討の際には、評価や出席についても、適切に反映されるよう民間施設、保護者、学校と連携した体制の構築について学校に周知してまいります。
最後に、教室に入ることができない児童・生徒の把握と対策についてでございますが、令和4年度末に不登校調査とともに、各学校への調査により教育委員会としても把握しております。
具体の対策としては、そうした児童・生徒が落ち着いた空間で自分に合ったペースで学習・生活できる環境を用意するなどの寄り添った支援を一部の学校で取り組んでいますが、今後、落ち着いて学べるそのような環境を整えるための人的・空間的な確保についても検討を進めてまいります。

議長/小林たかや議員。

小林議員/富士見みらい館ですけれども、今年度3月に報告書が各機関から出ております。
それもホームページで示すとのことですけど、区が何を、その報告書を見て課題と思ったか、区として次の手法を選ぶためには、何が問題だったのかも本来示さなくちゃいけないんですけど、これについてどうするのか。
次の手法を、先ほど考えられることを何個か挙げていただきましたけれども、その報告書を顧みて、本来決めていくのも大切だと、必要な過程だと思いますけど、その点についてどうなんでしょうか。
お答えください。

議長/教育担当部長。

教育担当部長/小林議員の再質問にお答えいたします。
まず、課題についてでございますが、先ほども申し上げたとおり、備品を含めた維持管理のデータ整理が課題であったというふうに思っております。
そのほかにも担当者が変わったときの引き継ぎの仕方、こういったところにも課題があったというふうに認識しております。
次に、次期の手法についてでございますが、この調査の中で様々な手法を検討しておりますので、そういったものを、その中の直営であったり、総合管理であったり、包括管理であったり、そういったものを総合的に踏まえて、富士見みらい館に対しての最適な手法を今後検討していきたいと思います。